高専生が持つ価値って!?~高専を語るインタビューvol.1~

インタビュー

今回のインタビューゲストは三好章一さん 

三井物産から高専へ

三好さんは、日本が世界に誇る商社、三井物産を退社し、茨城高専で教鞭を取られた異色の経歴の持ち主だ。民間企業から茨城高専が採用した文系教授第一号である。2002年、インドのニューデリーで機械情報部門インド側統括責任者として勤務されていた時に、社内専用ホームページで茨城高専の募集を見つけたのがきっかけだった。世界で活躍された三好さんだからこそ見える高専の価値”、今回はそれを熱く語って頂いた。

高専生が持つ価値って?(以下、インタビュー記事)

―三好さんから見た高専生はどのような感じですか?

高専生は”目的意識”がハッキリしているよね。つまり、何かをしたくて高専に入ったっていう子が多いように感じるね。例えば、「自分でロボットを作って、ロボコンに出たい!」とか。いわゆる普通の高校っていう選択肢もある中で高専を選んだ訳だから、皆何かしらの理由を持って入学しているはずだよね。そういう目的意識”とか”夢”を持っているのが高専生だと思うね。

―普通の高校に比べて、高専っていう選択肢は確かに稀ですからね。だからこそ、高専という選択肢には必ず理由がある気がします。では逆に、高専生に欠けている部分って何か思い当りますか?

あえて言うなら遊び”が足りない(笑)。   彼らは、要は5年間かけて一生懸命知識を詰め込んでいく訳でしょ。専攻科まで行けば7年も。その間のレポートだって当然忙しい。そうしている中に、”視野”言い換えれば”世界”がどんどん狭くなってしまうんだよね。目の前の研究や課題に没頭してしまうから。 だからこそ、”視野”を広げるっていう意味で、”遊び”が必要なんだ。

―”視野”を広げるための”遊び”は重要ですね。でも”遊び”って具体的にはどのようなことなんですか?

要するに色んな経験をするっていうこと。僕なんかは商社で働いていたから、色んな経験をしてきたよね。例えば、NYでは電車が6時間も来ないなんて事もあったし。パリでタクシーに乗ろうとしたら、助手席から犬が出て来たなんてこともあった。日本じゃ考えられないよね。だけど、いろんな経験をしていれば何が起こっても”打たれ強いでしょ。それが重要なんだ。エリートのように、ゴールまで一直線っていう人は強そうに見えるけど実は違う。そういう人は、壁に当たるっていう経験をしていないから、何か壁に当たった時、つまり”不測の事態”に陥った時に本当に脆い。だから、今の高専の子たちには色んな経験をして欲しいよね。そうすれば、視野が広がるから。特に海外にはどんどん出て行って欲しいな。「百聞は一見に如かず」っていう言葉通り、現地に行ってみないと分からないことって沢山あるからね。

―海外っていうと英語が大変そうですね。

英語は現地に行けば体で覚えられる。僕が商社時代にニューヨークに行った時も、英語は話せなかった。だけど、好奇心があれば体が勝手に覚えてくれる。 重要なのは、まずは日本語でちゃんと理解をするってこと。だって、まず日本語で中身を理解出来ていないことって、絶対に英語でも理解出来ないでしょ?政治、経済、文化、どの話を取っても、まずは日本語で理解していないと英語で話すなんて出来ない。だから、日本語で基本的なことを理解する方が大切だと思うし、英語が出来るか出来ないなんてそこまで気にする必要はないと思うな。

―そうやって挑戦して視野を広げられると、可能性もどんどん広がりますね。

そうだよね、高専生の可能性って本当に限りないよね。例えば、僕が高専で教えていた学生や卒研を担当した学生もいる。今ANAでパイロットとして活躍している人、読売新聞の記者になって活躍している人、金融関係の仕事でシンガポールにいる人、様々だよね。そうやって活躍していく高専生を見るのは本当にうれしいことだよ。

―可能性に満ち溢れた高専生ですが、彼らの強みってどのようなところだと思いますか。

本質・原理・基本というのをしっかり学んできたところなんじゃないかな。 面白い話があるんだけど、大学では高専編入生が居なければ実験が成り立たないなんて言われているところが多いんだよ。なぜかって言うと、普通の高校から上がった大学生は実験とかそういう基本的なことを丁寧には学べていないからだよね。高専の設備って古くて、いわゆる”きつい・汚い”ものだけど、だからこそ基本的なことを一から学べるんだ。今はITも普及して実験の設備も大分と便利なものになったけど、本質的なことを学ぶのには適していないよね。 僕は普段から「なぜ?」っていうのを必ず考えている。例えば、「なぜモーターは回るの?」とか「なぜ電気はつくの?」とか。そういう本質的な所が一番重要だからね。高専では、汗水垂らしてそういう本質・原理・基本を学んでいるよね。それが一番の強みだと僕は思うな。

―なるほど、確かにそれは高専生の強みですね。では、最後に高専生に向けて一言お願いします!

先程も触れたけど、遊び”をとにかく大事にしてください!どんどん視野を広げていけば、いろんな可能性が見えてきます!

★インタビューの様子

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―インタビューを終えて

「思い描いたことはすぐに実行していきなさい」 インタビュー後の三好さんとの会話の中で、最も印象に残った言葉だ。三好さんから頂くからこそ、納得できたのだと思う。今は三好さん自身も一つのプロジェクトを進められているが、そのプロジェクトは着実に実現へと近づいている。それは、思い描いたこと実行し、目の前にあるチャンスを決して逃さないからだろう。 自分自身で”切り拓く”こと。それが何より重要なのだと僕自身が学べたインタビューだった。

執筆者:宮崎真人

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